2007年11月12日

パッド交換

だいぶ間が空いてしまいました.

まとまった時間が無いとパッド交換や調整ができないので,ほとんど一月かけての仕事になっていますが,マークVIIのパッド交換やっと終了しました.

作業にもだいぶ慣れてきましたが,今回はパッドの交換だけでなく,結構錆びたり汚れていたので,クリーニングしながらの作業でした.その分時間もかかったのですが,結構きれいになりました.

一応,アメセルのオリジナルラッカーですので,あまり無理をしないようにしましたが,今回使ったPGW(Pro Guard Wax)がかなり良い印象です.
以前試したさび取りでは,さびは驚くほどよく落ちますが,同時にさびに近接したラッカーもすこしげてしまいました.PGWはサックスに付属してきた譜面台のさびで試したところ赤茶けたさびが奇麗にとれたのでそれなりに期待はしていましたが,ラッカーを傷めることなくさびの部分がとれています.ワックスでもあるので表面保護の効果も期待できるのではと考えています.(ちなみにYahooオークションで手に入れました.ケミックス株式会社から直接買うこともできるみたいです.ホームページがあります.)

処理前 処理前(本体の色合いの違いは写真でやや強調されています.)
処理後 処理後

リークのコントロールはまだまだ難しいとは思いますが,だいぶコツがつかめてきました.白蝶貝がついてないキーはキーを直接温めてパッドの微調整も可能ですが,白蝶貝が付いているキーは焦がさないように気をつけながらの作業となり,結構コントロールが難しい気がします.
スペーサー(ホームセンターで売っている,ステンレスの小さなアングル)を使って微妙なキーの傾きを調整します.

それと同時にパッドツールを使ってパッドの部分を温めてパッドにトーンホールの形をつけるわけですが,試行錯誤したところでは,パッドを温めるのではなくトーンホール側を温めたほうが効率が良いように思います.いずれにしてもパッドツールを温めすぎるとパッドを焦がして再び交換するはめになりますので注意が必要です.

Pad tool パッドツール (一部だけ.大きいサイズのツールもあります.)

(キーカップごとパッドを温めて,トーンホールに押し当てても同様の効果が見られますが,この作業はシュラックを溶かしてパッドとキーカップの関係も若干変わりますので,必要十分なシュラックをつけている場合は良い方法と思います.ただし,白蝶貝のキーを焦がさないようにするのが結構大変です.直接火があたらないように保護し,温度が上がりすぎないように濡れタオルなどを用意して,すぐに冷やせるようにしておいたほうが良いかもしれません.)

以前のキーガードの写真
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2007年10月25日

リーク!リーク!リーク!

パッド交換からコルク交換,バランス調整までを行い,だいぶバランスのとり方がわかってきましたが,リークの制御が一番難しいと思います.

トーンホールのレベリングが不十分なのか,パッドの傾き補正がいまいちなのか薄い紙一枚かそれより細いリークを制御するのに難渋します.


大まかなリークはキーバランスをとりながら,キーの傾きを調整して直せますが,キーの押さえ具合によっても,リークの出方が変わってくるため調整が難しいところです.
トーンホールにパッドが触ったぐらいできちんと閉じてくれるようになるまで追い込むのに試行錯誤しているところです.キーカップを温めなおせるところは温めた上でキーを上から押さえたり,パッドツールでパッドを温めてトーンホールの形をつけながら抑え込んだりしています.パッドを取り付けるためのシュラックの量にもよりますが,多すぎても少なすぎてもだめですし,はじめから強く押さえ込んでも後の調整が難しくなったりするようです.この辺は研究が必要...


パッドツールは最初ステンレスの板で代用していたのですが,部分的に強く熱しすぎたり,板が薄いとすぐに冷めて十分に温められなかったりしたのですが,市販のパッドツールは厚めのステンレス板でパッドの形状に合わせてリングが付いており,レゾネーターに干渉することなくパッドの革の部分を熱することができるので特にプラスチックレゾネーターのパッドに交換する場合には有用だと思います.また,厚めで金属量があるため,熱した後に冷めにくく,落ち着いて作業できる利点があります.


トーンホールの傾き補正には色々な厚みの板をかませて,反対側を押すことによりバランスをとれるのですが,この板にはホームセンターから色々なステーを買ってきて,使い分けています.
問題はロッド側のカップが浮いてリークが出る場合が厄介で,ロッドとは反対側にステーをかませて,ロッドとキーカップを連結する支柱部分をプラスチックハンマーでたたいて調整しています.ただし,力加減が難しく,キーによってはその部位をたたけないこともあるので,その際は再び分解して組みなおすしかなさそうです...(どなたかアイディアありますか?)

それでも最近は部屋を真っ暗にしてやっとわかる程度のリークにするぐらいまではできるようになってきましたが,慣れもあるとは思いますが根気が要る作業です.


ちなみに,色々な用語があるので少し整理しておいたほうが良いかもしれません.同じことを違う呼び名で言うこともあるようですので...


とりあえず,パッド部分の関連用語で
パッド = タンポ = タンポン
シュラック = ラック
(キーカップにパッドを取り付けるための接着剤.樹脂の一種で80度ぐらいでとけるそうです.)
キー・パール = Mother of Pearl = 真珠貝 = 白蝶貝
(キーの部分に埋め込んである白いもの.プラスチックのものもあるようですが,本来は白蝶貝です.Mother of Pearlは読んでそのまま真珠の母ですから母貝のこと―つまり真珠貝です.)

今日はここまで.

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2007年10月19日

キーガード製作

先日,友人に見せたKing Zephyrですが,音が良いと気に入ってくれたので引き渡すことにしています.

ただし,オリジナルのキーガードが無い状態であるために,キーガードを作成して取り付けることにしました.
オリジナルはプレート型のキーガードだったのですが,形成するのが大変なので,とりあえずビンテージ風にワイヤーのキーガードを作成しました.Zephyrは時期によってワイヤー型のキーガードのものも存在するので,その形を参考に若干のアレンジを加えています.写真はラッカーがけして乾燥させているところです.

KeyGuard.jpg

真鍮のワイヤーを切って研磨し,ハンマーでたたいて端を平らに広げ,ねじ穴を作成.一番大きなパーツは中心をたたいて広げ穴を空けたのですが,穴の位置が悪く,形を整えているうちに折れてしまったので,ジャンクのパーツから穴あきの板をカットしてワイヤーではさみ,ロウ付けしています.

最初は半田づけで何とかならないかなと思っていたのですが,強度てきにいま一つだったので,ロウ付けしてます.最初はバーナーの火力が弱いものでやっていたので全くダメでしたが,真鍮が赤く焼けるぐらいまで熱することができるバーナー(実は焦げ目をつけたりするのに使っていた料理用のバーナーですが...)で無事ロウ付け作業が行えました.

乾燥したら取り付けてお披露目します.

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2007年10月18日

久々のリード交換

昨日は久々にeSaxを使ったのですが,同時にリードを適当に箱から選んで吹いてみたのがいけなかったのか,ちょっと噛み気味での練習になってしまいました.
少し下唇の裏が昨日は痛かったです.

eSaxはきちんと音を出そうとすると息の量もそれなりに要求されますので,合わないリードを無理に鳴らそうとするとアンブシュアが悪くなる傾向にあるようです.常に吹きやすいリードを用意しといて,他のも少しずつ慣らしておく必要がありますね.
ラベル:サックス リード
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2007年10月15日

合同練習

本日は知り合いと2時間ほど合同練習.

サックス2本とギターという変則的な編成ですが,知り合いのSelmer Super Actionと私のYanagisawa A992とConn Chu Berry.そして,知り合いから頼まれていたKing Zephyr Tenorのお披露目でした.私の992はセッティングや吹き方が安定してきたせいか,SAと比較しても遜色なし.
Zephyrは私がtenorのリードを持っていないため,アルトのリードで取り敢えずきちんと音階が出るとこまでは確認してたのですが,今日が初めてまともな音出しの日でした.

面白いことにConn Chu BerryとKing Zehyrの音の傾向が意外と似ていて,やはりこれらが全盛であった時代のjazzっぽい音がしました.ちなみにChu BerryはConnのマウスピースにAlexander DC Superial #3というセッティング(このマウスピースにはもう少し厚めのリードが合うようですが...),ZephyrはOtto LinkラバーにVandren ZZの組み合わせでした.リードの番手は確認を忘れました...^^;

Zephyrは届いた時にはあまり奇麗な状態でなかっただけにちょっと心配していましたが,問題なく演奏できホッとしています.(なにせ,ネックのソケット部分が下手なはんだ付けで半分取れかかっているような状態だったものをいったん分解して半田を除去し,さらにネックの角度調節およびデント修正をして半田づけし直したので...結構大変でした)
ラベル:練習 サックス
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2007年10月14日

ご要望にお応えして...AS110

ご要望にお応えして,Selmer AS110の画像をアップします.

AS110_7.jpgAS110_6.jpgAS110_5.jpgAS110_4.jpgAS110_3.jpg

百聞は一見にしかずですが,キーポストの位置やキー配置はMark VIIとほとんど同じのようです.パッドサイズの比較はしていませんので,細かいところはわからないのですが一見よく似ています.ちなみにパッドはメタルレゾネーター付きです.
AS110_1.jpgAS110_2.jpg

彫刻はあるのですが,結構簡素化された彫刻である印象です.写真で見かけるベルまで彫刻が入っているものと比べるべくもありませんが,彫刻一つ一つの繊細さも期待できません.

コメントにも書きましたが,162とAS100のベルには鉄芯が入っているとのことですが,このAS110では磁石は付かないので鉄芯は入っていないようです.ちなみにMark VIIでも磁石はくっつきません.
AS110_neck.jpgAS110_neck_2

最後の2枚の写真は先日からの話題のオクターブキーの部分です.すでに付け替えているので,普通のモデルのように長めのロッドになっていますが,比較のために撮った最後の画像に写っているオリジナルのキーパーツと比較してもらうと,オリジナルがいかに短いかがお分かりいただけると思います.その分,オリジナルではジョイント部分から上にはみ出すことがないため,キャップをつけない状態でもひっかけたり,曲げたりしにくいという配慮なのかもしれません.
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2007年10月10日

サックスの調整

先日からサックスのパッド(タンポ)の取り付けやコルク・フェルトの交換をしながら思うことは,調整が悪い楽器はいかに音が出にくいかということです.

メインのYANAGISAWAを吹くと鳴らしやすいこと!
リークライトで丹念に自分が交換したConnのパッドを見ていくと微妙なリークが残っているところがあり,そこを調整してゆくとかなり反応よくなるようになってきました.パッと見漏れてないように見えても少し力を抜くとパッドの一部が浮いたようになるキーがあり,このあたりが一番の曲者です.他のキーとのバランスをとるためのコルクが少し干渉してる場合もあり,それぞれのキーで原因を特定して調整してゆく必要があります.
コルクもさらにつけかえてオープニング調整もまずまず.(一部まだ気に入らないところもあるのですが,とりあえずは音程も安定してきました.)



調整といえばAS110のオクターブキーのロッドが短かったので,その部品だけをジャンクで手に入れたサックスのパーツを流用して削り,作りました.磨きとラッカー掛けをしないといけないのですが,部品の交換で通常のネック(手持ちのSA80用のネック)にも対応できるようになりました.AS110オリジナルのネックはオクターブキーのループが長いのでちょっと不細工に見えますが,ご愛嬌ということで.そのうち写真をアップします.

本来はこれらの調整はプロに任せたほうが仕上がりもきれいでしょうし,時間も結果的には短くて済むと思うのですが,構造の理解と調整の重要さを認識するにはとても良い経験になっています.
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2007年10月04日

キーの調整

パッド交換とコルクの取り付けが終わり,リークもだいぶとれました.一通り音が出るようにはなり,タイミング調整もなんとかなりましたが,キーオープニング調整が不十分で,たぶんそれが原因で音程がいまひとつです.肝となるトーンホールがいくつかありそこを中心に合わせるようですが,じっくり見てみると結構ばらついているので,もう一度きちんと調整が必要です...一通り眺めると部分的に周囲よりも大きめのトーンホールがいくつかあるのですが,そこはできるだけスムーズに息を抜くために大きくなっているとのことで,その部分のキーの開きが悪いと必然的に音程にも影響するとのこと.これらの部分で最大の開きをとってこれに他のキーの高さを合わせてゆくのが基本のようです.
(細かいことはmusicmedic.comの解説に書いてあるのですが,なにせ英語ですので要点だけ...)

まずは,キーのコルクで高さが足りないところがあるので再びばらして,コルクの取り付けを行うべきところが数か所.あとはキーパッドの密着がまだいまひとつのところがあるのですが,フェルトやパールがあるので直接キーカップを温めにくいところがあるので,パッドレベリング用の工具が届くのを待つ必要があります.手持ちのステンレスの道具でやろうと思ったら熱し方が甘かったり,道具を熱しすぎて部分的にパッドを焦がして,交換せざるを得なくなったりしましたので...

最近,調整のほうに時間を割いているので練習の時間がちょっと短いのですが,リークの有無を見たり,キーの反応をみるのにパタパタとキーを押さえてみたりしているので,指の練習にはなってるかも...

パッドの開閉でパタパタ音がするのですが,面白いのはきちんとパッドがあっているとその開閉音が何となく音階を奏でます.音程的に正確で無いのは調整不足が影響しているのかも知れませんが,調整の一つの目安になりそうですし,自分の楽器の調子を判定するのに,リークライトをいちいち入れなくてもこの音である程度判定ができるかもしれませんね.
(プロのリペアマンの方がどのようにされているかは分かりませんが...)

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2007年10月01日

Conn Chu Berry Artist Model

ここのところ

ここのところ公私ともに忙しかったせいで更新が滞っております.

とは言いながら,以前にどうしても欲しくなり格安で手に入れたConn Chu Berryのartistモデルが届いたので,そのセッティングを行っています.


Connはチャーリー・パーカーが使用していた6MのNaked Lady(Lady Face)モデルが有名のようですが,micro tuning neckやrolled tone holeを持つChu Berryもビンテージものの中では有名です.Connのモデルは矢野沙織さんも使っているみたいですね.ジャケットに写っている変わった形のネックがMicro tuning neckです.

Artist modelは凝った彫刻がなされたもので,通常であればアメセル並みに手を出しにくい値段になるのですが,オリジナルネックが無いこととパッドやコルクなどが無く,オーバーホールが必要なため,手頃な値段で手に入れました.

到着時にはすでにすべてのパッドが奇麗に取り除かれていましたので,パッドの取り付けから始めましたが,一般的なアルト用のパッドを取り付けているとサイズが合わないカップがいくつか見られました.本当は計測して注文すべきなのでしょうが,それだけを取り寄せると高くつくので,交換用パッドは予備がありますのでこれをいったんばらして,中のクッションの辺縁を切り取り,再度表の革を接着しなおして使用しました.難点は革が余るので,切り取りながら調整しないと裏で重なってパッドが厚くなり,他のキーとのバランスが崩れてしまうことです.はじめは気付かずに組み立ててしまったため,パッドをはずして裏を削るはめになりました...

パッドの取り付けは無事終了したものの,針バネが外れてなくなっているところが数か所あり,手のちのリペアキットのバネでは小さくて合わないところも何箇所かありました.こればかりは手持ちも無く,もう少し材料を探すか取り寄せるしかないのですが,とりあえず,大きめの安全ピンをばらして,代用に使っています.意外と使えますが,針バネと比べるとやや反跳力弱いようです.
キーバランス調整は時間切れのため,まだこれからですが,とりあえずhigh keyのリークがある程度なくなったことを確認して音出しをしてみましたが,結構スムーズに音が出るのでこれからの調整が楽しみです.でも,コルクもフェルトもきれいに外された状態であったため,つけ忘れているコルクも何箇所かあり,調整のためにはキーをはずしてつけなおす必要もあるようです.
 
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2007年09月17日

リペア

友達に頼まれて取り寄せたサックスが思った以上にひどい状態で,リペアをする羽目になってしまいました.

もともとの予算が非常に低かったので,文句も言えないのですが,ネックのソケット部分は下手な修理がされていたみたいで,半田付けされているものの汚く,接続も不十分で今にも外れそうでした.
おまけに,周囲にへこみも多く,ネックのソケット部分を取り外して,半田を除去.デント(へこみ)を内側から叩き出して,形を整えたのち再び半田付けしました.最初はロウ付けするつもりでしたが,手持ちのバーナーの火力が弱く,ロウ付けには温度がやや足りなかったのと半田の方が流し込むのに慣れてることもあり,半田付けにしました.

その他,オクターブキーの連携が悪くロッドが曲がっていたのを修正.外れかけていたパッドをとりあえずつけなおし,きちんと音がでる状態までにしています.
キーガードが外れてなくなっているのも取り寄せた後で気づいたのですが,いま,キーガード作成に奮闘中です.

色々,いい経験になってはいますが,驚いたのはサックスのラッカーは想像以上に耐熱性があります.半田が流れ落ちるぐらいに熱してもびくともしません.
ラベル:リペア サックス
posted by RIO at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アルトサックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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