2007年07月21日

音の成り立ち

サックス調整中で練習できないのが結構堪えてます.
ネットオークションなどで出ている楽器を見ては,はやく調整から帰ってこないかと思っているのですが...

気を取り直して,以前に書いた倍音を考える上で必要な,音の成り立ちについて少し整理しておきます.

まず,音の基本波形はサイン波だと書きましたが,なぜコサインでは無いのか?これは至極単純な話で,サイン波とコサイン波は周期が半分ずれているだけの話なので,裏を返せば発音のタイミングが半周期分ずれているだけということが言えます.したがって,音の基本はサイン波という一言になってしまうわけです.

[波長と周波数と音程]
サイン波にも色々あります.波が長いものもあれば,短いものもあります.
波が長いということは,一秒間という長さの中で入る波の数は,波が短いものと比べると少なくなります.すこし難しい言い方をすれば,単位時間あたりに入る波の数が少ないということになり,波=振動となるので単位時間あたりの振動数が少ないということになります.これがすなわち周波数が低いということになります.
周波数の違い=音程の違いですから,波の長さが音程を決めることになり,波の長さが長い=周波数が低い=音が低いということになります.

サックスの場合,管の中に空気が流れますが,この空気はリードの振動を伝えます.つまり空気そのものが振動しています.ただし,純粋なサイン波ではなく,さまざまな周波数のサイン波が複合した複雑な波形をつくります.これが音色になるわけですが,各周波数の音の大きさを無視すれば,様々な音程の音を含んでいると考えても良いわけです.サックスではタンポで穴を塞いで音程を調整しますが,管から息が抜けて外にでる部分までの長さで振動しやすい周波数とそうでない周波数が決まります.もともと色々な周波数で振動している空気が,この管の長さで一定の周波数が強調され音程がつくられるわけです.

さて,すべての生楽器に共通することですが,物体には固有振動数というのがあります.これは主に物性に依存しますが,要は振動しやすい周波数とそうでない周波数があるということです.これはサックスでは先の管の長さとは別の話になり,管の材質により管自体が振動する周波数が異なるということになります.
言い換えれば音程は管の長さで振動する空気の周波数を規定するのに対し,材質の違いにより管自体が振動する部分は主に音色に依存すると考えられます.もちろん,管だけでなくマウスピースやリード,リガチャーもそれぞれの固有振動周波数を持ちますし,人体そのものも異なる固有振動数を持ちます.これが複雑なサックスの音を作りだしている所以だと思われます.特にリードや人体はその日のコンディションでも違うはずなので,このあたりがとても微妙な話になります.

[振幅と音量]

サイン波で波の大きさ(振動の幅)を考えてみましょう.縄跳びを想像してください.二人で縄跳びの両端をもち同じ時間で一回転させる場合,人が跳べないくらい小さく回すのと絶対に人に引っかからないように大きく回すのではどちらが大変でしょうか?大きく回す方が大変だと思いますよね.(思わない人はそう思い込んでください...^^;)
つまり,波の大きさが大きい方がエネルギーを持つということになります.音量はまさにこの波の大きさ=振幅になります.
ちなみにラジオのAMとFMがありますが,AMよりFMが音が良いのはこの周波数と振幅の特徴に依ります.
AMはampulitude modulatonの略で電波に信号を載せるときに電波の振幅を変えて信号を表現します.したがって,遠くの音が小さく聞こえるのと一緒で,環境の変化を受けやすいため音が悪いわけです.(これ以外に振幅を変えることができる範囲にも依存しますが...)
FMはfrequency modulationの略で,信号の載せるときは電波の周波数を変えます.つまり,基本となる周波数(チューナーをあわせるときの周波数です)とどれくらい受信した周波数がズレているかを測定し,信号に変換します.遠くの音も音量は小さくなっても音程は変わらないのと一緒で,FMの方が良く(良い音で)聞こえるわけです.ただし,FMでは周波数が変動するため,近い周波数の電波を出すと混信してしまいますので,ある程度の幅をもたせて周波数割り付けが行われます.だからAMより局数が制限されるわけです.

少し話が横道にそれましたが,音の成り立ちの基本を知っておくと,結構いろいろと気づくところがあって面白いですよ.

posted by RIO at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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