幸いに近い所に被害はありませんでしたが,震源地周辺ではけがをされた方も多く,死者も出ています.
被災された方々にお見舞い申し上げます.
さて,昨日ご紹介したブローアップですが,ブルズアイエンタープライズ 小山様に許可をいただきましたので,少し詳しく紹介していきたいと思います.
ブローアップ
まずは,入手先なのですが,ブルズアイリガチャー.comで手に入ります.ただ,今のところ商品紹介の中に出ていません.オンラインオーダーのところにはありますので,そこで注文すればOKです.
さて,このブローアップ.一言でいえば只の管なのですが,練習用グッズとして面白いものです.
説明書が極めて簡潔に書いてありますので迷うのですが,手持ちのマウスピースを差し込み吹くだけです.マウスピースを差し込む深さはコルクの半分ほどまでで良いとのこと.これで,アルトサックスであればコンサートのCの音程を狙って吹きます.ちなみにコンサートCとはA=440Hzの場合のCでピアノなどのC音のことです.アルトのCつまりE♭ではないのでご注意を.テナーサックスの場合はB♭とのことです.
ちなみに,クラシックなどシンフォニーの人はアルトではC#を狙って練習するとのことです.
手持ちのマウスピースではセルマーやYANAGISAWAならコルクの真ん中ほどまでの差し込みでよいと思いますが,煤竹などシャンクが短いマウスピースの場合は,同じ位置にするとマウスピースのチャンバーも含めた全体の管の長さが短くなるため音程が上がります.したがって,浅めに挿すか基準音をはじめからC#など少し高めに設定して練習する必要が出てきます.
初めの練習は基準音でロングトーンして安定した音を出すことが目標のようですが,これから+/-20セントでピッチをコントロールするように練習します.これはコントロールの仕方はビブラートの練習をするのと同じように考えると良いかもしれません.
(注:この練習法の意義は耳と口と息でピッチコントロールをすることだと小山様からコメントいただきました.ビブラートのように早いコントロールをすることが目的ではなくあくまでもロングトーンが重要ということだと思いますので,ゆっくりと練習してください.コントロールの仕方がビブラートをかける時の息と口の使い方において共通する部分が多いと思いますので音をコントロールするコツとしてビブラートと書いております.また,一般的にビブラートを口の動きでかける方を強調している教則本が多いのですが,実際は口を動かすだけでなく息も使ってコントロールすることが重要だと思います.―2008/6/15 追記)
そのあとは基準音から次第に低い音を出すように練習するようですが,最終的には4度下,つまりアルトの場合はGが出るようになると良いとのことです.これは結構難しいようで,私は今のところ2度ちょっとまでしか下がりません.力を抜いて喉を開くことが重要なようですが,これでロングトーンをするのが結構難しいのです.力が入るとのどが閉まりますし,ゆるすぎると息漏れしたり音が割れたりします.つまりこの練習は口腔内を広げると同時に口元が緩まないようにしっかりとしたアンブシュアを作るトレーニングになります.また,同時に息の支えが必要になりますので,呼吸法の練習になります.
さて,このような理屈の練習道具ですが,25cm程度の長さなので実は持ち運びも楽だし,実際に出る音は話し声程度か吹き方によってはもっと小さく音を出せますので,夜や集合住宅での練習にはもってこいの道具です.もちろん,運指の練習にはなりませんのでそれは別に練習が必要ですが,ロングトーンはこれで練習できますので,効率良い練習が可能になります.
また,個人的にはオーバートーンやフラジオの練習にも使えるような気がしています.
(まだ,私自身が完璧にマスターしているわけではないので,この点にはもう少し時間をかけて調べる必要がありますが.)ただし,オーバートーンを出すような吹き方をすると高音がでて音もやや大きくなりますので,これは夜はやめた方が良いかもしれません.